◆一度死んだ「設定」で生きる意味を見つけたいと思った

 それでも彼は学校に行かなくてはならなかった。家では明るく振る舞っていたものの、つらい思いをしていることを母や家族には言えなかった。年端(としは)もいかない子どもが、どれほど苦しかったか想像に難くない。

 毎日毎日、どうしてこんな顔に生まれてきてしまったんだろう、一生笑われながら生きていくしかないんだ……と心が折れ続けた。子どもながらに自分で自分を追い込んでいった。

「生きていても意味がない。そう思ったけど、死ねなかったんです。勇気が出なかったのと、今まで僕のために一生懸命やってきてくれた家族を悲しませることはできなかった」

 そこでほしの少年が考えた「設定」が、自分は一度死んだことにするというものだった。そしてもうすでに二度目の人生だから「生きる意味を見つけたい」と思った。