◆モデルから俳優にすぐ方向転換できたのは「運」

――加藤さんご自身について伺いたいのですが、加藤さんは、もともとファッション誌『MEN'S NON-NO』の創刊号から出られていたモデルさんです。そしていわゆるモデルから俳優へと進まれた開拓者かと。改めて、そういった意識はありますか?

加藤「ただ運が良かったんですよ。草刈正雄さんとか、団時朗さんといった方々が僕の前にいらっしゃるわけですが、そうした先輩の時代はモデルの扱いが悪くて、苦労されたと思います。僕らのときは偶然の産物で『MEN'S NON-NO』という雑誌のモデルにもファンがついた。そこに僕らがいただけのことであって、開拓者という感覚はないです。

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それに、あのときは、いわゆるモデルらしいポーズを取らずに、自然に座って笑っているだけというのがコンセプトだったので、たとえば従来のモデルの訓練をされてきた方々から見ると『技術がない』となる。それが、いきなりファッションショーなんかに出たりするから、『違うよね』となる先輩方はいました。でもそれも時代が変わっていっていたということですよね。

僕は僕で、あくまで個人の道として、俳優になろうと歩いてきました。パリコレに行ったときに、自分のような身長では食べていけないと思いましたし、世界を知らなきゃダメだと思って世界にも出ました。俳優をやろうと思って、モデルからすぐに方向転換できたのも運があったから。ただ、時間がかかってもやらなきゃいけないとも当時、思っていました。モデルだけに頼っていると限界がくるだろうと思ったので」