◆後半のプログラムで「家族との絆を再確認」

 さて、後半のプログラムが始まると、結婚式場のような会場に案内されたそう。後半のプログラムでは、新入社員は入場から特技の披露まで両親とは違う席で進んでいきます。

「当時の私は、人前に出るのが苦手でした。後半のプログラムが始まると、緊張して手汗がすごかったのを覚えています」

 自己紹介と特技の披露では、フルートを演奏した明美さん。

「特技と言えるかは分かりませんが、学生時代にずっと吹奏楽をしていたのでフルートが吹けて良かった。フルート以外に披露できる特技はまったくなかったので」

◆家族から新入社員に手紙の朗読…!?

家族同伴の入社式
 次に、家族から新入社員に書いた手紙の朗読があります。

「家族からの手紙は、てっきり母が手紙を読むと思っていたので、父からの手紙だったのには驚きましたね」

 心美さんの父は無口で母とは対照的な性格。朝は早く出勤し、夜は日付が変わる直前まで帰ってこない仕事一筋の父。そんな父から娘への初めての手紙だったそう。

「父の手紙には、私が生まれた時に心拍が取れず、小児救急に運ばれて入院した時の話から始まりました。結局そのまま2ヶ月間退院できず、その間、母と協力して毎日母乳を運んでいたそうです。

 退院後も小学生になるまでは体調の変化に敏感だったという、両親の想いを聞いて……。親にたくさん愛情をかけてもらって今ここにいるんだと再確認しました」

 父からの手紙に感動した心美さんの顔は、涙でメイクが落ち目も腫れ上がってボロボロだったそう。