◆「察する文化」のデメリット

――他にも“日本人の特性”だと感じることはありますか?

金「日本の方は『言葉で出さなくても分かるでしょ?』と、“察する”ことを求める場合が多いと思います。相手の気持ちを察しようとするのはもちろん、素晴らしい配慮です。ですが、言葉で出しても伝わらないことが多いのも事実だと思うのです。

察して分かるのは難しいことです。時と場合によっては、言わなくてもいいこともあるけれど、ちゃんと伝えたいことは、言葉での表現がすごく大切だと思います」

◆『察してわかってよ』という空気

言わない
――日本の社会は、ハッキリ言うのが難しい環境だと思いますか?

金「そうですね。会社では上下関係などで遠慮して言えなかったり、『察してわかってよ』という空気もあると思います。他の国で『空気を読む』に当たる言葉があるのかな……、と思うくらい空気を読む国だと感じています。プライベートや男女関係、友人同士でもそのような場合があります。

私の場合も、悪い事を言っているつもりはなくても、『そんなことよく言えますね』と言われるようなことが多々ありました。それは仕事上のことです。ビジネスに関して、同僚や上司、クライアントなどに色々な提案をするのにも、日本では抵抗があったと感じています。

人格を否定するようなことを言うのでなければ、特にビジネスでは意見を言い合うのは大切だと思うのです。しかしながら最近は、初めて日本に来た20年前に比べると、ずいぶん言いやすく変わってきていると感じます」