福島県双葉町中野地区では、9月28日(土)に福島煙火(えんか)協会主催で‟福島から世界へ 花火が織りなす平和のシンフォニー「双葉花火」”が震災後初めて開催される。

1尺玉を含めた約5000発規模の花火大会は、県内では釈迦堂川花火大会に匹敵し、福島県内の花火師たちが協力しての開催となる。出店は町民がメインとなり、裏方として支える。日中はインバウンド観光客向けに、日本の食や文化、伝統を楽しめる企画も実施予定だ。

被災地の今

福島県双葉町中野地区は、東日本大震災の津波と東京電力福島第一原発事故で甚大な被害を受けた地域。震災から13年の月日が流れ、復興へと確実に歩みを進めている。

しかし、福島県の震災の象徴とも言える東日本大震災・原子力災害伝承館がある双葉町の町民の数は、未だ100人程度に留まっているという。震災を風化させないために、被災地の今を知ってもらうのには地域を訪れてもらうことが重要となる。

「いつか双葉で本格的な花火大会を開きたい」


「双葉花火」の発起人は、福島煙火協会の会長で糸井火工代表の糸井秀一さん。糸井さんは、何もない広い敷地に建つ伝承館で、震災10年の追悼花火を上げた際、花火を上げるのに最高の場所だと感じたという。そして、「いつか双葉で本格的な花火大会を開きたい」と想いを抱いた。

糸井さんは以下のようにコメントしている。

「(前略)花火はたくさんの人を集めることができます。復興記念公園の開園を来年に控え、復興のラストランナーと呼ばれるこの地域で、福島県の花火師たちがひとつになり、夜空を作りたいと思いました。地元の人、地元以外の人、そういう枠を取り除き、みんなで空を見上げたい。双葉で想いがひとつになることを願っています」

「双葉花火」では、震災の風評と風化の払拭、福島の今と魅力を体験できる双葉地方の新たな観光資源としての継続開催も目指す。

約5,000発が夜空を彩る