パートナーに先立たれる悲しみは計り知れません。例え親族が集まる葬儀中であっても、ふとしたきっかけで気持ちのブレーキが効かなくなることも。

 今回お話を聞いたのは、名古屋市在住の明子さん(仮名・35歳)。父親の葬儀ではじめて見たという母親の姿を語ってくれました。

◆つらい闘病の末、父が他界

お葬式
写真はイメージです(以下、同じ)
「父は、亡くなる5年前から病気と闘っていて、入退院を繰り返していました。医者からも余命宣告を受け、父が痩せて弱っていく姿を見ながら、私たち家族も父の死が段々と近づいていると覚悟を持って看病を続けていました」

 明子さんに兄弟はおらず、父の死後、残されたのは母と明子さんの2人。葬儀の準備も2人で相談しながら進めたそうです。

「父の職場や友人関係への連絡、葬儀プランや遺影の用意など……本当にやることが多くて、父の死を悲しむ暇もない状態でしたね。まさか、決める事があれほど多いとは思いませんでした。

 準備が終わり、ようやく葬儀が始まります。

「冠婚葬祭でしか顔を合わせない親族に会った時、『あぁ、父は本当に亡くなったんだ』という実感が湧いてきましたね。お通夜ではたくさんの方が来てくださり、父の顔の広さに驚きました」