いつも通り自転車で家へ帰ろうとすると...

そんな話を聞いたことも忘れ、それからしばらくたったある日、弓道部に所属していた私は、いつものように練習を終え、その日は片付け当番だったため、片付けを終えてから夜6時半くらいに帰路についていました。私の帰り道は大きい道を通って帰れば明かりもたくさんあるのですが、車通りが多い時間で自転車で通るには危ないので、普段どおり人気の少ない自転車道を帰っていました。

すると、10分くらい自転車をこいだあたりで、なんと後ろから自転車に乗った二人組に声をかけられたのです。そのまま無視すればよかったのですが、思わず立ち止まってしまった僕は前と後ろ一人ずつ囲まれてしまいました。

「お前こっちを睨んできたやろ」前に出てきた一人に言われ、そこで初めてあ、これが話にあったカツアゲかと割と冷静に事態を把握していた僕ですが、言われるままその二人組にさらに人気のない脇道に誘導されもう終わりかと思いました。

しかし、幸運なことに、そこを一人の男性が自転車でたまたま通ってくれたのです。その男性に犯人が気を取られている間に、僕は夢中で自転車を漕ぎ、気づいたときには二人組を振り切っていました。