新型コロナウイルスの影響から、収入やボーナスが減るなどして家計を見直している家庭も多いでしょう。生活費の中でも大きな固定費である「住宅費」を下げておきたいと考える人も多いようです。持ち家で、現在ローン返済中の人がその負担を軽くしたいと思ったとき、どのような手段があるのでしょうか。
住宅ローンの返済を楽にするには
毎月の住宅ローン返済の負担を下げるには、次の3つの方法があります。
- 繰り上げ返済
- 返済条件の変更
- 借り換え
いずれも金融機関での手続きを経て、毎月の返済額や支払う利息を少なくできる方法です。それぞれどんな手続きで、どんなメリットや注意点があって、どんな人に向いているのかを正しく把握して、「わが家にぴったり」な手段を選びましょう。
方法1.繰り上げ返済
繰り上げ返済は、毎月の支払額に加えて追加で返済を行うことを指します。追加返済したお金は全額元本の返済に回りますので、借入残高が減る分利息の負担を減らせます。
繰り上げ返済は、それを行ったことで「毎月の返済額が減るタイプ(返済額軽減型)」と「返済完了までの期間が短くなるタイプ(期間短縮型)」の2種類から選択することができます。今の支払額を抑えたい場合は返済額軽減型の方が便利ですが、支払う利息をより少なくする効果が高いのは期間短縮型です。
繰り上げ返済の注意点
追加で返済するためには、元手の資金が必要です。その金額が大きいほど利息軽減につながるのですが、余裕資金がないのに繰り上げ返済に力を入れ、手持ちのお金が減った状態で子どもの進学や大病を患うなど、お金が必要な場面を迎えてしまうと困る可能性があります。
金銭的な負担を楽にするために繰り上げ返済したはずが、そのせいで逆に追い詰められるとなると意味がありません。一度繰り上げ返済すると当然そのお金は戻ってきませんので、タイミングや金額についてはお財布と相談して慎重に決めたいところです。
繰り上げ返済の手続き
窓口に足を運んだり担当者に会わなくとも、今はインターネットでいつでも手軽に手続きできる金融機関が多いです。一定の手数料がかかるケースもありますので、今借りている銀行のホームページなどで確認してみましょう。
方法2.返済条件の変更
返済条件の変更は、例えば毎月の返済額を多くしたり少なくしたり、返済期間を長くしたり短くしたり、今借りているローンのまま返済に関する条件を変更することです。金融機関によっては、変動金利から固定金利に切り替えたり、ボーナス払いの有無を変更したりできることもあります。
繰り上げ返済はお金に余裕がある人に向いていますが、返済条件の変更はお金に余裕がない人に有効です。特に今は金融庁の要請もあり、新型コロナウイルスの影響で家計が急変した場合など、普段より柔軟に対応してくれます。
後述する借り換えのようにほかの銀行とのやり取りが発生するわけではないので、より早く対応できることも多い方法です。
返済条件変更の注意点
どの返済条件をどれくらい変更できるのかは、金融機関によって異なります。担当者との交渉内容や審査の結果によっても変わることがあり、繰り上げ返済と違って申し込めば必ずできるというものではありません。
また、返済条件変更で毎月の返済額を減らすときには、その分だけ返済に必要な期間が延びて、総返済額としては上がってしまうことがあるので注意が必要です。今の負担をとにかく抑えたいという人には適していますが、その分将来に負担を付け回しして後でつらくならないかよく考えましょう。
返済条件変更の手続き
今ローンを借りている金融機関に相談します。専用の相談ダイヤルを設けているところもあります。返済条件変更にかかる手数料も確認しておきましょう。
自らの事情を説明したり、ほかの金融機関の金利などを提示したりして交渉する方法もあります。新しい条件が決まったら、金融機関の指示に従って必要書類を提出するなどして契約手続きをします。