介護している人の年齢は?

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同じく「国民生活基礎調査の概況」(2019年)から、介護をしている同居の人の年齢を見ていきましょう。70~79歳の要介護者の場合、同じ70~79歳の人が介護している割合が56.0%ともっとも多く、次いで65~69歳が21.6%、80~89歳が16.2%の順になっています。

これらの数字を合計すると93.8%となり、70~79歳の要介護者を65歳以上の高齢者が介護する割合は9割を超え非常に高い数字となっています。要介護者と介護者の年齢が近いことから、同居の配偶者が介護しているケースが多いと推察できます。

高齢の子が高齢の親を介護する老老介護

さらに年齢を上げて見ていきましょう。80~89歳の要介護者の場合は59.3%が、90歳以上の要介護者の場合は58.2%が、60~69歳の同居の人に介護されています。年齢差から察するに、おそらく子どもが親を介護しているものと思われます。

65歳以上の要介護者を65歳以上の高齢者が介護することを「老老介護」と言います。平均寿命が伸びたことで、高齢の子がさらに高齢の親を介護するケースが増えていると言われています。

体力や能力が衰えてから介護を行うのは、「介護疲れ」を引き起こしやすく、「介護うつ」の状態になって共倒れするなど、社会問題になっています。

介護による心身の消耗もそうですが、心により大きくのしかかってくるのが経済的な負担です。十分な介護を受けさせるだけの貯蓄がない、そうしたことに直面しないよう親や自分が元気なうちから備えておく必要があると言えるでしょう。

親が元気なうちに考え実行しておきたいこと

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「介護予防」という考え方にもとづいて、親が元気なうちに実行しておきたいことを紹介していきます。

介護予防とは、65歳以上の高齢者が「要介護状態になることを未然に防ぐこと」、または「要介護状態になるのを極力遅らせること」を意味しています。また、すでに介護が必要な場合には、「それ以上悪化させないように改善に努める」ことも含まれます。

それでは、介護が必要な状態にならないように、どのような予防方法があるのかさっそく見ていきましょう。

健康診断や人間ドックなど

健康診断や人間ドックで精密な検査を受けることで、病気の兆候などを早めに発見し治療すれば、大きな病気を防ぐことができます。人間ドックの相場は日帰りで3万~6万円ほど。

人間ドックは年に一度は受けたいところです。安くはない金額ですが、大病をして要介護となったときにかかる金額と比べればずっと安いと言えるでしょう。親のために毎年検査費用をプレゼントするのもありですね。

親とともに旅行に出かけよう!

親が元気なうちに、一緒に旅行に出かけるのも介護予防につながる可能性があります。旅行によるポジティブな刺激は、心身にいい影響を与えることでしょう。元気なうちでしたら、ハイキングなどの身体を動かす外出も可能でしょうし、湯治という言葉もあるように、温泉にじっくり浸かるのもいいでしょう。

また、大手航空会社、旅行代理店、介護事業を展開している企業が共同で「介護予防ツアー」を企画しています。

介護スタッフのほか、看護師も同行し、旅先では利用者の運動レベルを考慮した歩行ペースで歩き、体温や血圧の管理を行うなど、高齢者に優しいツアーとなっています。こうしたツアーを親にプレゼントしてもいいかもしれません。

旅行は介護予防になるだけでなく、親との大切な思い出を作ることにもつながります。親孝行と思って、親が元気なうちからその費用を蓄えておいてはいかがでしょうか。

親が元気なうちから備えておこう

親の介護と言っても、まだ親が元気なうちはなかなかイメージしにくいものです。今回、具体的な数字を知ることによって、漠然としていた介護の輪郭が見えてきたのではないでしょうか。

ただ、要介護にならないことに越したことはありません。もしもに備えての介護費用を蓄えておくのはもちろん、親が元気なうちから介護予防にも努めていきましょう。

提供・UpU

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