単話としては事件も解決していますし、芹沢・西条・安達の三角関係も進展してるんですが、これ何? 前回と前々回のお話は忘れたほうがいいのかしら、というところで、見ていて困ってしまったんですよね。

 確か巡査が誘拐されて、拳銃を奪われている。正体不明の2人組がまだ逃亡中のはずなんです。あと、安達さんのキャラ急変のきっかけとなったウイルス騒動のほうも、捜査本部まで立ち上げられたのに、問題のUSBメモリーを鑑識係に忍び込んで係長の引き出しに残していった犯人もわかっていない。

 今回、その続きはまったく描かれませんでした。小鳥遊署では警察体験教室みたいなことが行われていたので、本庁から数十人を集めたウイルス事件の捜査本部は解散したようですが、これ西条の疑いが晴れたというだけで事件は解決してないはずなのに、その陣頭指揮を執っていた安達さんもすっかりキャラが戻ってるし、全然仕事してない。

 クールの中盤で丸々2話分を使って設定ごとひっくり返すようなことをやっといて、「いつもの『ギークス』に戻りました」って言われても、それはちょっとどう見たらいいのかわからないんだよなあ。事件の内容も別にタイムリーな時事ネタに触るわけでもないし、なんだか、ただ「クール中盤で設定ごとひっくり返してみる」ということをやって、それで話題性だけを取りに行ったように見える。クール全体を通しての作りたい展開があって、それを狙ったら中盤でどんでん返しが起こった、というのが本来の形であるはずなんですが、手段と目的が逆転している感じがする。今回のエピソードには、そういう違和感をすごく感じました。

 あと、芹沢・西条・安達の三角関係については本当にひどいと思っていて、これも「主人公の女性は恋をしなければいけない」という、ものすごく古い価値観で語ろうとしているように見えるんですよね。

 西条に設定されたキャラクターは「自分のひとり時間が最優先」であって、こっちとしてはそういうところに共感を覚えたりもしていたんですが、ドラマのほうから「恋をすればもっと充実、もっと幸せ」という主張を押し付けられている感じがする。