清家はヘイトスピーチ厳罰化や在留外国人支援を推進し、浩子は在留外国人支援機構に多額の寄付を行っていたことは大きな謎だったが、彼らのルーツを知ると合点がいく。ただ、清家が官房長官という地位にとどまらず、国民の支持を追い風に総裁になれば、日本国家を揺るがす“日本人軽視”の政治をする可能性がある。清家とは対照的に国民から敵視されている道上と鈴木が、どのようにして清家と浩子の企てを防ぐのかが今後の見どころになるだろう。

 道上と鈴木に残された希望は、浩子が証拠を持ち去った『BG株事件』の全容解明。事件のキーマンは、民和党ナンバー2の外務大臣・諸橋(矢島健一)の元秘書・富樫(吉岡睦雄)だ。富樫は口封じのためなのか長らく行方不明の状況だったが、鈴木は諸橋陣営を調べるなかで手がかりをつかんだ様子。『BG株事件』には諸橋だけでなく民和党総裁・羽生(大鷹明良)も関わっているとされる大疑獄なだけに真相究明は困難だが、富樫が見つかれば形勢逆転のチャンスは見えてくる。

 行方不明といえば、清家の大学時代の恋人・美和子(亜里沙、田辺桃子)も忘れてはいけない。美和子はとうの昔に『浩子のルーツは中国』という事実を知っており、その類まれな情報収集力のもと、道上や鈴木すらも掴めていない情報をもっている可能性がある。美和子はシナリオコンクールの応募作『最後に笑うマトリョーシカ』のペンネームに“劉麗蘭”を使用していた。そんな彼女は物語前半でフェードアウトしたため死亡説もささやかれるが、生死はいまだに不明。美和子が憎たらしい態度そのままに再登場するとなれば、清家と浩子にとって難敵になることは間違いなく、物語は先の見えない展開になりそうだ。

 次回第9話では、清家が国民の直接投票で総理大臣が選ばれる『首相公選制』の採用を提案するようだ。国民の人気者・清家が日本のトップになる準備を着々と進めるなか、道上と鈴木は清家・浩子の“悲願”と『BG株事件』の真相を明らかにできるのか。放送回も残りわずかとなっただけに、ジェットコースターのような手に汗握る怒涛の展開を期待したい。