金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』(TBS系)の第8話が8月16日に放送された。これまでのストーリーの軸となっていたのは、人気政治家とその母が抱く“悲願”。第8話でついにその一端が明らかになったが、それは世代を超えた憎しみに満ちたもののようだ。

 早見和真氏の同名小説(文春文庫)をドラマ化した同作品。国民から絶大な支持を集める若手政治家・清家(櫻井翔)の躍進の裏に隠された、清家に関わる人々の謎の事故死や失踪の真相を追求するヒューマン政治サスペンスとなっている。前回の第7話では、清家を高校時代からサポートしてきた政務秘書官・鈴木(玉山鉄二)が、清家から突如“クビ”を宣告される。清家を陰で支配していたのは清家の母・浩子(高岡早紀)だったのだ。華やかな政界から追い出された鈴木は、ジャーナリスト・道上香苗(水川あさみ、以下、道上)と共に、28年前に起きた『BG株事件』を調べる。『BG株事件』は鈴木の父・宇野(河野達郎)が主犯として逮捕された不正事件で、現在の与党上層部も関与していると噂されている。道上と鈴木は当時の関係者を通じて、『BG株事件』の決定的証拠となるカセットテープの存在を知る。しかし、そのカセットテープは浩子が手にしているという。浩子がカセットテープを手にした目的とは、そして官房長官にまで駆け上がった清家のサクセスストーリーとの関係は……。

 浩子は清家を裏で操り、清家の身のまわりで起きる不審死の首謀者とされている。物語の中心人物でありながら謎が多い浩子だったが、第8話では浩子の過去が明らかになった。浩子が銀座のホステス時代に名乗っていた名前は劉浩子、浩子の母は劉英華という中国籍だと発覚。つまり、清家と浩子の家系は中国にルーツがあったのだ。さらに、劉英華はかつて暮らしていた街の飲食店で、泣きながら母国語で「やり返してやる」と叫んでいたという。清家と浩子が掲げる“悲願”とは、先祖が日本で虐げられてきたことへの復讐と、いまもなお虐げられている同胞の救済ではないだろうか。