◆桜の言い伝えの出所が発覚

そして2人は半年のお付き合いを経て結婚して、また桜の季節がやってきました。

「私が『今年もまた幸せになれるように、いっぱい桜を見に行こうね』と言ったら、優弥が気まずそうな顔をして『ごめん、実はそれ千秋ちゃんをデートに誘う口実にでっち上げた嘘で…そんな言い伝えはどこにもないんだ』と告白されて、えー!って感じでしたね」

ですが、お花見デートを重ねる度に幸せを感じていた千秋さんは「最初は嘘だったかもしれないけど、これからは私達の言い伝えとし採用して、毎年桜をいっぱい目に焼き付けよう」と優弥さんに提案しました。

「優弥は自分の嘘にあきれるどころか素敵な提案をしてくれた!と喜んでいて、ありがとうと言われました。そのうち子供ができたらもちろん教えてあげたいですし、私達だけの言い伝えを守っていきたいですね」と微笑む千秋さんなのでした。

<文/鈴木詩子>

【鈴木詩子】

漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop