発達障害の当事者の銀河さんは空気を読むことが苦手で、新卒で入った会社でもうまくいかず、うつ病になってしまいます。その後、発達障害であることを生かした仕事のやり方をみつけ、現在ではキャリアアドバイザーとして転職サポートを行ったり、キャリアや生活で悩む発達障害の人へコーチングを行うなどの活動をしています。

今回、銀河さんが上梓した新刊『発達障害と仕事』の中から、「人の褒め方」「人間関係を強化するコツ」などをご紹介します。

(当記事は本書より抜粋して構成)

銀河さん
銀河さん
◆褒めているつもりが、偉そうになっているかも?

女性
※写真はイメージです
あなたは、最近誰かを褒めた記憶はあるでしょうか?

人を褒めるところが見つかったときは、人間関係強化のチャンスです。なぜなら、人と協力をしていく上では「褒める技術」を持っているかどうかで結果が大きく変わるからです。周囲の人々がやってくれたことをきちんと“褒める”ことで士気も上がり、みんなとより強力な協力体制が築けるようになるわけです。

しかし、発達障害、特にASDのある人は他人を褒めることが苦手な人が多いように思います。より厳密に言うと、「本人は褒めているつもりでも、言われた人からすれば褒めているように聞こえない」という事態が起こりやすいのです。ASDの人は、感情に訴えかけるのが苦手ですし、話をするときは非常に淡々と物事を伝えがちです。

だから、褒めるときも、「○○さんはここが強みで、ここが優れている。だからすごいと思います」などと、客観的・論理的な感想を伝えた褒め方になりやすいのです。

事実としては間違っていないとしても、まるで通信簿に書かれるような言われ方をすれば、多くの人には「褒めているように聞こえない」のです。いくら自分は褒めているつもりでも、どこか偉そうだなと思われたり、上から目線だなと思われたりして反感を買ってしまうことも。これでは褒めたつもりでも、相手にとっても自分にとってもプラスにはなりません。