◆トラブルを避けることも重要

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モチベーションの維持以外にも、楽しく作家活動をするために、さまざまなことに注意を払う必要があります。杏さんが特に意識しているのが著作権です。

経費の多くを占める布のほとんどは、あるインターネットサイトで購入しています。なぜならば、そのサイトで購入した生地は商用利用可能だからです。商用利用とは営利目的で利用すること。例えば商用利用不可のデザインの生地でバッグを作ったとします。それを個人で使用している分には問題ありませんが、フリマアプリなどで販売をすると著作権を侵害してしまうことに。

バッグでいえば布だけでなく、形が著作権を侵害することも。雑誌などに付いている型紙にも著作権があり、同様にそれを使用して販売をすると問題になってしまいます。

「ハンドメイド作品の販売は趣味の延長線上にあることが多いだけに、権利意識が低い方が多い印象です。トラブルを避けて楽しく活動を続けるためにも大切なことです」

訴訟に発展するケースもあることから、細心の注意を払っているといいます。ほかにも会社に副業申請を提出したり、確定申告をしたりと、トラブルを避けるためにきっちりとルールを守っていると言います。会社での仕事とは異なり、作家活動は自分の意志のみで行うもの。己を律する心もまた必要です。

◆楽しむことが継続への道につながる

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作家活動には大変なことがたくさんあるということがわかりました。でも杏さんは終始楽しそうに話してくれます。筆者が「楽しいですか?」と尋ねてみたところ、「めっちゃ楽しいですね」と笑顔で答えてくれました。イベント前の徹夜作業のことすら、明るい声で話をしてくれます。

「SNSに投稿されたモルモットの日常写真の中に、さりげなく自分の作品が映り込んでいることがあります。日常生活に溶け込んでいるのがうれしいですね」

お情けでの購入でなく、本当に必要で使ってもらえることがうれしいと言います。やはり、作家活動を継続するためには、お金よりも何よりも、楽しむことが一番のようです。

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まとめると……

・かけている時間の割にはあまり利益にならない

・販売、モチベーション維持、作家仲間を見つけるなど、SNSをフル活用する

・トラブルを避けるためにも、他人の著作権を侵害しない

・何よりも楽しむこと!

ということになります。

これから作家活動を始める皆さんも、「楽しい」の気持ちを忘れずに挑戦してみてください。

<取材・文/増田洋子>

【増田洋子】

2匹のデグー、2匹のラットと暮らすライター。デグーオンリーイベント「デグーサロン」を運営。愛玩動物飼養管理士2級を取得。Twitter:@degutoichacora