長期間かつ多額になることが一般的な住宅ローン。最後まできちんと返していけるのか、不安に感じる人も多いのではないでしょうか。「借りられる金額」ではなく「返せる金額」はいくらなのか、その判断基準について解説します。
住宅ローンは「借りられる金額」より「返せる金額」が重要
住宅ローンの借入額について「いくら借りられるか」と「いくらなら返していけるか」、この2つは似て非なるものです。住宅ローンを組むときには、後者の方が重要です。
いくら借りられそうか確かめるためには、住宅金融支援機構や各金融機関などが提供している「借入可能額シミュレーション」などが役立ちます。ただ、こうしたシミュレーションを通して算出される「借りられる金額」は実際に「返せる金額」を上回っていることが少なくありません。
理想のマイホームを実現するためにはお金がかかるもの。実現したい理想に合わせて、借入額をできる限り大きくしようとする人もいますが、これはあまり良い方法ではありません。
返済額が返せる限度ギリギリになるようなローンの組み方をしてしまうと、ちょっとした収入や金利の変化が家計にダメージを与えてしまいます。幸せになるためにマイホームを購入したのに、そのローンに圧迫されてギスギスして幸福度が下がってしまうようでは本末転倒です。
「借りられる=返せる」ではありません。途中で返済に困ることがないよう、無理のない返済計画を立てましょう。
我が家の「返せる金額」を把握するために
無理なく返済できる金額はいくらかと言われても、その金額を答えるのは難しいと感じるかもしれません。まずは自分の家計の状況や、家を購入することで必要になる費用について把握することから始めましょう。
「今の家賃と住宅ローンの毎月返済額が同じくらい=OK」ではない
「今の家賃と変わらない金額でマイホームが手に入る!」という不動産広告を見かけたことはありませんか?でも、注意しておきたいのは、家を買うなら毎月の返済額以外にも考慮しておくべきお金があるということです。
住宅ローンを組むときには、物件価格以外にも印紙税、不動産取得税、事務手数料、登記関連費用など、諸費用がかかります。その金額は物件などにもよりますが、目安として物件価格の5%~10%程度です。3,000万円の家を買うなら300万円近くかかることもあると考えると、かなり大きい負担ですよね。
家の費用は「住宅ローン」以外にも
さらに、家の購入や維持のためにかかるお金はほかにもあります。たとえば以下のようなものです。
- 固定資産税、都市計画税
- 火災保険・地震保険
- (マンション)管理費&修繕積立金
- (持ち家)傷んだ箇所を直すための修繕費
- 家が広くなったことで増加する水道光熱費
- 駐車場や駐輪場の料金
これらをすべて合わせると、住宅ローンの返済以外に毎月数万円の負担が、長年に渡ってかかり続けることも。どんな費用がいくらくらいかかるのか事前にシミュレーションして判断材料に含めておくことで、「こんなはずではなかった」と後悔する事態を防ぐことにつながります。