「それもうまくいかなかった」「すごくショックだったよ」とオーディションがうまくいかなかった当時を振り返ったスピーニーは、「ソフィアは私が若い頃から特に注目していた監督で、特に聖書地帯(バイブルベルト)で育った私にとっては特別な存在だった」とコッポラへの思いを明かす。

「彼女の作品には何か解放的なものがあって、私が育った地域ではあまり語られなかった若い女性についてのテーマがあったの。彼女は若い少女たちを真剣に扱ってくれた。それが私にとって個人的なレベルで非常に響いたんだ」と、コッポラの映画作品はスピーニー個人にとって大切なものであるようだ。

しかし、これらの経験を通じて、スパイニーは『プリシラ』(’23)でプリシラ・プレスリー役を獲得。エルヴィス・プレスリー役のジェイコブ・エロルディとともに見事な化学反応を見せた。

プリシラ役獲得の裏にはキルスティン・ダンストの存在が?

「(ソフィア・コッポラが)ニューヨークで会いたいと言ってくれたの。私たちは一緒にコーヒーを飲んだよ。すると彼女はiPadを取り出して、私にプリシラ・プレスリーの写真を見せ始めたの」とスピーニーは振り返った。

スピーニーがその電話を受けたのは、キルスティン・ダンストと共に『シビル・ウォー アメリカ最後の日』を撮影していた時のこと。ダンストといえば、ソフィア・コッポラ監督作品に複数回出演していることでおなじみだ。

「(キルスティン・ダンストが)私を観察して、私についての所見を考えていたんだと思う」「彼女がソフィアに何と伝えたのかは分からないけど、何かを言ってくれたんだと思う。『シビル・ウォー』の撮影が終わる頃には、プリシラ役を獲得したと知らされていたよ」

実際にダンストは、コッポラの撮影現場に順応する方法について、スピーニーにいくつかのアドバイスをしてくれたという。

恐ろしい表現やディストピア的な世界観での演技が必要だった『シビル・ウォー アメリカ最後の日』の後に撮影することになった『プリシラ』について、ダンストは「『プリシラ』は(『シビル・ウォー』とは正反対になるはずだよ。落ち着いてのんびりした雰囲気の撮影になる。ソフィアが音楽をかける中、バスタブで悲しんだりね。最高の時間になるよ」とスピーニーを激励し、スピーニーは「実際にその通りになった」と喜んだそうだ。