同劇団が主に公演を行うのが、本多劇場グループの「劇」小劇場。いわゆる小劇場演劇シーンは、ゼロ年代に昔ながらの新劇の翻訳劇から現代口語演劇がトレンドになった。2010年代はそれがデフォルト化しながら、2020年代まであらたな表現性が模索されている。

 ショーGEKIは、そうした小劇場シーンの変遷の中で25年近く活動を続けてきたが、彼らが志向する演劇世界はかならずしもシーンのトレンド感に左右されるものではない。迫力ある殺陣からお笑いまで幅広く誰でも楽しめる演劇を届けるエンタメ集団なのだ。

◆単なる2世俳優ではない泥臭さ

 その意味では、劇団というより演劇ユニットのノリに近いかもしれない。フレキシブルな演劇集団だからこそ、松谷のような新人俳優が、才能を発揮できる場所を自由に模索し、足場を固められる。

 松谷の俳優デビュー作は『ブレイブ -群青戦記-』(2021年)。同作公開時に父親が松崎しげるであることを公表している。松崎しげるの息子というブランド力は魅力的だが、でもだからといって彼が単なる2世俳優ではないことは足場を置く劇団の確かな地盤から明らかだろう。

「新旧2世芸能人大論争SP」では他に西城秀樹の息子である歌手の木本慎之介が出演していた。松谷の隣に座り、スタジオではもっとも2世的なきらきら感をまとっていた。松谷はもっと純朴というのかな。小劇場演劇で鍛練する泥臭さみたいなものが、彼特有の好感度につながっていると思う。

◆今後の飛躍は十分あり得る

 では、泥臭い好感度を俳優としての飛躍としてどう昇華させていけばいいのか。日本の芸能界では基本的に大手芸能事務所に所属していなければ、メジャーの映画やテレビドラマ作品に出演することはなかなか大変なことだ。

 ライバル俳優とのどんぐりの背比べ的な競争をうまく戦い抜けない若手を筆者は何人も見てきた。大手のオーディションを受けるには年齢制限だってある。それでも俳優を続けるなら、小劇場演劇のフィールドに身を置くことは戦略的だ。