◆母親自身の学歴コンプレックス
子育てのなかで、親の思想・世界観がまったく入り込まない家庭はまず存在しない。しかしあまりにも子どもが置き去りにされ、親の思惑や自己実現が優先される光景には胸が痛くなる。
「教育虐待」という言葉もあるが、どこからが虐待になるかの線引きは正直難しい。きっと昨今加熱している中学受験でも、親たちのあいだでは似たり寄ったりの沼が出現しているだろう。
歩さんが見てきた「早期教育にのめりこむ親」には特徴があった。「ちょっとこの人大丈夫かな?と心配になるくらいに熱心なお母さんは、自分自身の学歴にコンプレックスがあるケースが多かった」という。
「お父さんは、世間一般で高学歴と言われるような部類です。そうした場合、子どもの成績が悪いと母親のせいにされると思うのでしょうか。もしくは、自分が果たせなかった夢を、子どもに託(たく)しているのか。
どちらにせよ、父親の存在を感じる家庭がすごく少なかった。前に早期教育仲間のお子さんが不登校になったとき、お母さんが心配していたのは『勉強が遅れるんじゃないか』だったんですよね。え、子どもの心を心配するんじゃないんだ…と、そのお母さんの精神状態も心配になりました」
【こちらの記事も読まれています】