◆悩み第1位は「どうしたらいいか分からない」
カウンセリングに来訪する熟年離婚の希望者は、年代も理由も温度も幅広いものの、相談内容には共通する“心の声”があるといいます。
それは「どうしたらいいか分からない」なのだとか。自分のことなのに分からないとは、いったいどういうことか。緒方さんから見ると、「長年自分の気持ちを置き去りにした結果」だといいます。
「カウンセリングにいらっしゃる方は、男女どちらも『どうしたらいいか分からない』と話す方が多いです。自分の気持が分からないけど、もうこれ以上我慢をしたくない状態です。
現状は自分の選択した結果ではあるものの、そもそも『自分がこうしたい』からではなく、年齢や親の意見など、周りを意識して行動した結果だったりもします。
つまり、熟年離婚を望まれる方には、夫婦関係だけでなく、長年自分の気持ちを置き去りにし、色んなことに我慢強く耐えていた方が多いんですね。これって、いわゆる『自分の気持ちに正直に生きる』とは真逆の選択です。周囲の目を踏まえて理性的に行動し続けた結果、『自分はどうしたいか』が、麻痺して分からなくなっているんです。
今まさに悩んでいる方も多いと思いますが、ここは時間をかけ、本当の自分はどうしていきたいかを見ていくと、最終的に離婚でも再構築でも、納得できる答えが見えて来るのではないでしょうか」
熟年離婚について、皆さんの中でイメージの変化や気付きはあったでしょうか。
筆者はシンプルに妻側からつきつけるケースがほとんどだと想像していましたが、現実は男女間のあり方の変化によって、熟年の夫婦であっても、その形が大きく変わろうとしているのだなと感じるのでした。
<取材・文/おおしまりえ>
【緒方リサコ】
株式会社オフィス・サット・ピリアロハカウンセリング代表。25歳で結婚。47歳で子連れ離婚をする。「息子とも末長く良い関係を構築しお互いが成長していけたら」と、アドラー心理学(親子関係・家族関係)を学ぶ。親子/家族関係や嫁姑問題等を踏まえたパートナーとの関係修復や離婚相談、大切な人とパートナーシップを築くためのコミュニケーションのサポートができたらと、ピリアロハカウンセリングを設立し、現在に至る。
【おおしまりえ】
水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。Twitter:@utena0518