――自分の好きなことをして生きていきたいという気持ちが押さえられなかった?

稲葉「年を取るにつれてどんどん動きづらくなることに気が付いて、だったら今動いておこうと決めて会社員は辞めることにしたんです。

大切なものって人それぞれやっぱり違うんですよね。お金だったりステータスだったり。私は自分の心を最優先したかったから今があるし、メンタル的には充実しています。だから迷っている人がいるのなら、それぞれの大事にしたいものを優先すればいいって伝えたいです」

◆今ようやく、自分を「どうだ!」と見せつけられる

太陽とシスコムーン稲葉貴子さんインタビュー後編
――もう生活面においても不安はないですか?

稲葉「会社を辞めた今、どうにかやれていますからね(笑)。環境を変えるってだいぶ勇気のいることかもしれませんが、自分の心が喜ぶ方を考えるべきだと思います」

――今後の人生の目標を教えてください。

稲葉「今ようやく、何でも楽しめるようになってきました。ずっとどこかカッコつけたい自分がいましたが、削ぎ落されて隠す必要もなくなって、今の自分を『どうだ!』と見せることができています。

私はこれからも自分の心が喜ぶことをお仕事として成り立たせていければと思います。また全然違うこともやるかもしれないけれど、絶対に無理はしない。自分を痛めつけるようなことはしないと決めています」

◆今を生きてるって感じです

太陽とシスコムーン稲葉貴子さんインタビュー後編
――様々な経験をしてきた稲葉さんだからこそ言える、説得力ある言葉ですね。

稲葉「でも、そんなに先を見据えているわけではないので、今を生きてるって感じですよ(笑)。とにかく、できる限りずっと歌い続けていけたらと思っています」

――ありがとうございました!

<取材・文/もちづき千代子>

【もちづき千代子】

フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama