高校や大学、専門学校に通っている学生、もしかすると社会人の中にも「海外留学したい」と考えている人がいるかもしれません。海外留学を考える上で気になるのは、やはり「費用」でしょう。そこでこの記事では、海外留学にかかる費用や奨学金制度、またその使い道などについてまとめてみました。

海外留学している人はどれくらい?

文部科学省の発表によると、日本から海外に留学する学生の数(単位を伴う長期留学)は、2004年をピークに3割ほど減少傾向で、近年は年間で5万~6万人のあいだを推移しています。

また、日本学生支援機構(JASSO)が定期的に実施している調査では、2018年の留学生は11万5,146人と、前年度よりも1万人近く増加しました。

海外留学には費用がかかるため、国や民間企業などの各種調査においても、経済的負担が留学を断念する理由の上位に挙げられています。一方で必ずしも、経済的な事情ですべての人が海外留学をあきらめる必要はないでしょう。公的機関などが設ける奨学金制度があり、中には返済不要の「給付型」のものもあるのです。

海外留学にかかる費用

まずは海外留学にどれくらいの費用がかかるのか確認しておきましょう。

海外留学と言っても、留学期間や留学する国などの条件によって費用は大きく異なるため、単純にいくらと言うことはできませんが、1つの目安として過去15年以内に海外留学経験者のある人に対してJASSOが行った「海外留学経験者の追跡調査」(2018年実施)の結果を参照します。

「実際の留学期間にかかった総費用はおよそいくらでしたか?」という質問に対する回答は、以下の通りとなっています。

50万円~100万円未満 25.1%
50万円未満 19.2%
100万円~150万円未満 10.8%
150万円~200万円未満 8.4%
200万円~300万円未 8.3%

3ヵ月以内の短期留学の場合、ほとんどの人が100万円以下と回答しましたが、やはり6ヵ月以上の留学となると、100万円以上と回答した人の割合が圧倒的に高くなっています。

海外留学のための奨学金と応募条件

海外留学のための奨学金メニュー(給付型)を設けている主体として、日本国内の大学やJASSO、地方自治体、また留学先の学校などが挙げられます。

応募資格や支給額はそれぞれ異なりますので、綿密な情報収集が必要となります。奨学金には大きく分けて、返済不要の「給付型」と返済が必要な「貸与型」の2種類があります。もちろん、「給付型」の人気は高く、そのため応募にもさまざまな条件が設けられています。

狭き門!JASSOが設ける「海外留学支援制度(協定派遣)」

各大学や専門学校が諸外国の大学と学生交流に関する協定を結び、そこに在籍学生を一定期間派遣するプログラムを実施する場合、資格や要件を満たす学生に奨学金(月額6万~10万円/渡航支援金16万円)を支給する制度で、2020年度の募集人数は2万人です。

応募条件は各大学・専門学校等によって異なりますが、例えば英語圏の大学への留学を希望する場合、語学力(TOEFLやIELTS)に加えて一定水準の学業成績も求められます。書類選考に加えて面接を設けている所がほとんどで、限られた採用枠をくぐり抜けなければなりません。

また、このほかの「給付型」奨学金として、高校生(卒業見込者)や大学院生を対象にした制度(JASSO)、国と民間企業・団体が協同で海外留学を支援する制度(トビタテ!留学JAPAN)、民間企業・団体が独自に設けている制度などもあります。