◆精神疾患の家族を支える難しさ
――主人公・ゆいちゃんの母親は統合失調症を患っていますが、病院に行きたがらないため治療を受けられません。当人が拒否する場合は治療する手段はないのでしょうか。
水谷:大抵の人が最初は「精神科を受診したくない」と言うと思います。漫画の舞台になっているのは1990年代なので、今より偏見や差別が強かったのでハードルが高かったと思います。
本人が「自分は病気だ」と認めるのは、まずとても難しいことだと思います。なんとか病院に行けと足しても、自分に合う医療者に出会えるかどうかは運の部分が大きいです。
周りの人が「あなたは病気だから治しなさい」という態度だと、当事者が拒否してさらに悪化するかもしれません。個人的には、当事者が大切にしていることを尊重する関わり方が大事だと思います。なるべく対等な関係や状況を作って、安心を感じてもらうことができれば、当事者の中で変化が起こったり、自ら話をしてくれる可能性があると思います。
精神疾患に関する差別や偏見は昔に比べれば少なくなっていると思うのですが、まだ自分から受診する人は少ないかもしれません。
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