パリ五輪の卓球女子シングルスで銅、団体で銀メダルに輝いた早田ひなが、帰国記者会見で「鹿児島の特攻資料館に行きたい」と発言したことが物議を醸している。国内外で波紋が広がる一方、あの大ヒット映画にも騒動が飛び火しているようだ。

 13日に開かれた帰国記者会見で「いまやりたいことは」を問われ、早田は「アンパンマンミュージアムへポーチを作りに行きたい」と回答。微笑ましい答えだったが、次に早田は一転して真剣な表情で「あとは、鹿児島の特攻資料館(知覧特攻平和会館)に行って、生きていること、そして自分が卓球をできていることが、当たり前じゃないというのを感じてみたいなと思っています」と語った。

 これを受けて、ネット上では「意外すぎる発言で驚いた。若いのにしっかりしてる」「ああいう会見の場で強い意志を持って発言したのは立派」「内面も素晴らしくて、ますます早田選手が好きになった」といった称賛の声が続出した。

 その一方で「影響力のある人気選手の発言としてはどうかと思う」「本人が意図してなくても政治的な発言になってしまう」といった否定的な意見も。さらに、社会学者の古市憲寿氏が15日放送のフジテレビ系『めざまし8』で、「特攻があったから今の日本が幸せで平和だっていうのはちょっと違う」「むしろ特攻みたいなことをさせない社会にしていく必要があると思う」と苦言を呈すなど、賛否両論となっている。

 発言の影響は海外にも波及し、中国のネット上では「早田選手は中国人の越えてはならないラインを越えた」「友好的で好きな選手だったのに裏切られた気持ち」などと批判が噴出。早田は中国語圏最大のSNS「微博(ウェイボー)」にアカウントを開設しているが、騒動後に批判的なコメントが急増した上に、相互フォローしていた中国の男子シングルス金の樊振東と女子シングルス銀の孫穎莎からフォローを外されたことが判明した。

 国際問題に発展しかねない状況となっているが、ネット上ではなぜ急に早田が特攻隊への関心を強めたのかを不思議がる声も上がっている。