国指定史跡「見沼通船堀」の閘門開閉実演が、8月21日(水)、埼玉県さいたま市緑区で開催される。

「見沼通船堀」の歴史について

まずは、「見沼通船堀」の歴史から紹介しよう。

江戸時代のさいたま市域には「見沼」と呼ばれる広大な沼があった。見沼は徳川吉宗の命を受けた井澤弥惣兵衛為永によって、享保12年~翌13年にかけて新田開発されることになり、この時に見沼に代わる灌漑用水として開削されたのが見沼代用水だ。享保16年には、見沼代用水や見沼新田周辺の地域と江戸との間に舟運が開かれることになり、東西2本の見沼代用水とその間を流れる芝川と結ぶ運河として見沼通船堀が開削された。

見沼通船堀の最大の特徴は、見沼代用水と芝川との3メートルもの水位差を克服するための仕組み。木製の関(閘門)による水位を調整し、船を通すため閘門式運河と呼ばれる。今回、実演を行う見沼通船堀東緑には、2基の関がある。

過去の閘門開閉実演を紹介

過去の閘門開閉実演の様子もチェックしていこう。


実演開始前の東縁一の関と二の関の間の様子。画像の奥の閘門が二の関、水は手前の芝川方面に向かって流れている。


東縁一の関にて、閘門を閉める作業を実施。角落(かくおとし)と呼ばれる板を関枠の前に落として、関枠に取り付けるために引き寄せているところだ。


こちらは、角落を取り付けたところで、関枠の柱と水圧によって、角落が固定される。


水位が上がった一の関と二の関の間を復元船が航行する。実演開始前と比べると水位が上がっていることがわかる。

熱中症対策をしながら見学しよう

今年の「見沼通船堀」閘門開閉実演は、1回目10時~、2回目13時~実施。各回約1時間10分程度となっている。東縁一の関の開閉による水位調節や東縁一の関と二の関の間での復元船の航行のほか、市指定無形民俗文化財「見沼通船舟歌」と歌にあわせた踊りの披露、鈴木家住宅附属建物の特別公開(通常は土日のみ)が行われる。