株式投資信託の分配金への課税
株式投資信託の分配金への課税は、上場株式の配当金と同様の課税体系となっており、税率は売却益への課税と等しく、20.315%である。
分配金については、支払時に源泉徴収による課税が行われるため、確定申告は不要である、ただし、次のケースでは確定申告を行うことで有利となる場合もある。
1つ目は上場株式や投資信託等の譲渡損失等と損益通算を行うケースである。他の金融機関での取引分や、一般口座等との通算を行うことで、利益分に掛かる課税額を減らすことができる。この場合、確定申告で申告分離課税を選択する必要がある。
2つ目は配当控除を活用するケースである、株式投資信託の分配金への課税は、上場株式の配当金と同様に配当所得に分類されるため、確定申告時に総合課税を選択することで配当控除を活用することができる。
この2つのケースについては後述する。
公社債投資信託の売却益、償還益への課税
公社債投資信託の課税については、2016年1月より、金融所得課税の一体化を受けて大幅な見直しが行われている。
従来、公社債投資信託の売却益や償還益については、利子所得として20.315%の源泉分離課税が適用されていた。これらは確定申告で他の利益と損益通算することは不可となっており、譲渡損についても、なかったものと見なされていた。
しかし、2016年の金融所得課税の一体化を受け、先述した株式投資信託と同様の取り扱いとなった。売却益や償還益は20.315%の申告分離課税となり、原則として確定申告が必要だ。譲渡損失が出た場合には、上場株式等の配当や売却益との損益通算も可能となっている。
また、公社債投資信託も特定口座での取引が可能となったため、源泉徴収ありの特定口座で取引を行えば特定口座内で課税手続きを完了させ、申告不要とすることもできる。
公社債投資信託の分配金への課税
公社債投資信託の分配金への課税についても、金融所得課税の一体化を受けた見直しが行われている。
従来は利子所得として20.315%の源泉分離課税となり、確定申告はできないこととなっていたが、こちらも確定申告による申告分離課税の適用が可能となった。上場株式等の配当や売却益との損益通算も可能だ。
ただし、分配金については、株式投資信託の分配金と異なり、総合課税による配当控除の適用は不可となっている。利子所得と見なされるためである。
分配金は申告不要、売却益、償還益は申告必要
ここまでのまとめとして、公募投資信託では、株式投資信託、公社債投資信託ともに、課税における確定申告の必要性の有無は次のようになる。
分配金は支払時に源泉徴収されるため、申告不要である。ただし、申告した方がお得になることもある。これについては次項以降で触れる。
売却益、償還益は申告分離課税のため、申告が必要となる。なお、金融所得課税の一体化を受け、公社債投資信託も特定口座の対象となったため、源泉徴収ありの特定口座を選択していれば、投資信託における課税を確定申告なしで行うことも可能である。当然ながら、源泉徴収なしの特定口座や一般口座での購入を行う場合には、売却益、償還益の確定申告を忘れずに行う必要がある。