転職時、保険はどうする?健康保険編
次は転職時の健康保険についてです。健康保険に加入していると病院で診療を受けたときの窓口負担が3割になるなどのメリットがあります。
会社員の場合は「健康保険」に加入しており、事業者が一部の保険料を負担しています。転職する時、次の会社に入社するまでブランクが空く場合は、次のいずれかの手続きが必要となります。
* これまでの健康保険に引き続き加入する「任意継続被保険者制度」に加入
* 国民健康保険に加入する
* 年収が130万円未満なら、家族の保険の扶養に入る
いずれかの対応をしないと、病院の窓口で医療費を全額支払うことになります。病気やケガは、いつ発生するか分からないので、いずれかの手続きを行って健康保険には加入しておいた方がよいでしょう。
任意継続被保険者制度に加入する方法
任意継続被保険者制度は、退職後20日以内の手続きが必要です。手続き先は、加入していた健康保険組合になります。そして手続きに必要なものは 印鑑、住民票、申請書 です。
この制度を選択する一番のメリットは、(健康保険組合によりますが)国民健康保険を上回る手厚い保障を続けられる、という点です。直接的な窓口負担はどちらも原則3割で変わりませんが、入院時の保障等がより手厚いことがあります。
また、あなたの年収や家族構成によっては、保険料的にもこちらの方が得になることもありますので、転職時にはぜひ一度比較検討してみましょう。
ただし気をつけたいのが、転職で任意継続被保険者制度を選択すると、健康保険料がこれまでの約2倍(上限アリ)になるという点です。そもそも健康保険料は、今までは会社とあなたが折半して支払ってきた訳ですが、今後はあなた一人で負担する訳です。また任意継続被保険者制度は、最長でも2年間しか利用できません。
国民健康保険に加入する方法
「国民健康保険」に加入する場合、退職後14日以内の手続きが必要です。手続き先は、住所地の市区町村役場になります。そして手続きに必要なものは 印鑑、届出書、健康保険の資格喪失日が分かる証明書 です。
また国民健康保険の保険料は、市区町村によって異なりますので、具体的な金額は窓口に問い合わせて確認しましょう。
手続きそのものは14日以後に遅れても特に問題になりませんが、保険料は退職日の翌日まで遡って請求される点には注意が必要です。
転職時の保険はどうする?雇用保険編
次は転職時の雇用保険です。これはつまり「失業給付」についてですね。
雇用保険の「失業給付」とは?
会社員時代はなかなか意識しないものですが、基本的に会社員は雇用保険に加入しているため、転職先が決まっていない状態で会社を退職すると、次のような条件を満たせば「失業給付」を受け取れます。
・条件1:ハローワークに求職申込をしている
・条件2:退職日以前の2年間に、雇用保険加入期間が通算12ヵ月以上ある
・条件3:失業状態だが、労働意欲と能力はある
なお、条件2は、例えば リストラや解雇、契約更新の拒否、出産 などの場合は、「退職日以前の1年間に、雇用保険加入期間が通算6ヵ月以上」に短縮されます。
また条件3は、失業状態であっても、以下のようなケースでは認められない点に注意が必要です。
・家業や家事手伝いをしている
・学業に専念することになった
・すでに転職先が決まっている
・自営業を始めた(準備含む)
・一定の役員に就任した(名義だけでも)
しかし一方で、 病気・ケガ・妊娠・出産・育児・介護などですぐに働けない 場合は、働ける環境が整った後で、失業給付が受けられます。
なお、こういった事情で働けずに生活が困窮した場合は、失業給付ではなく生活保護など、別の給付を受けられる可能性がありますので、一度、役所に相談してみましょう。
失業給付を受けるための手続き
また、失業給付を受けるまでの流れは、およそ以下の通りです。
1:ハローワークで求職申込
2:待機期間(7日間)
3:説明会と失業認定に出席
4:その後約1週間で給付
5:以後、4週毎に失業認定、約1週間後に給付
失業給付を受けられる期間・金額
なお、自己都合での退職や懲戒解雇の場合は、待機期間終了後、さらに3ヵ月間の給付制限期間を挟みます。
そして具体的な給付金額は、おおよそ「離職前の賃金の5~8割」です。さらに「いつまで受け取れるか」は、雇用保険の被保険者であった期間で異なり、最短で90日、最長で330日となっています。
また、給付日数を残して安定した職業に就職できた場合には、支給残日数に応じた「再就職手当」を受け取れることがあります。
ひとまず、失業給付が受け取れる間に、次の仕事を探しましょう。
転職時の税金はどうなる?所得税編
さらに転職時は、税金についても忘れず手続きしましょう。転職時の税金とは、主に『住民税』と『所得税』のことです。まずは所得税から解説します。
会社員の所得税とは?
そもそも会社員の所得税とは、あらかじめ1年の収入を想定して、それを月割で源泉徴収されています。
このため、退職して次の職場が見つかっていないなら、その分多くの所得税を納めていることになりますので、還付を受ける(収めた税金を返してもらう)ことができるのが基本です。
所得税の手続き方法
『所得税』はその年の1月から12月までの1年間の収入が税金の対象になります。もし、年内に再就職できれば再就職先の年末調整で手続きできます。しかし、年内に再就職できなかった場合は、自分で確定申告をする必要が出てきます。
なお、いずれの場合も、退職時に会社から受け取る『源泉徴収票』が必須ですので、大切に保管しておきましょう。
なるべくなら年内に再就職先を探して、余計な手続きをしなくて済むようにしたいところですね。
転職時の税金はどうなる?住民税編
最後に『住民税』についてです。住民税は所得税と支払い方が異なるため、注意が必要です。
会社員の住民税とは?
そもそも住民税とは、1月から12月までの1年間の収入に対する税金を、翌年の6月から翌々年の5月までに支払う後払いの税金になります。
このため、1~5月に退職した場合は、5月までに納めるべき残額を退職時に一括清算することが必要です。
一方、6~12月に退職した場合は、5月までに納めるべき残額を、退職時に一括清算するか、分割で支払うかを選択できます。どちらを選ぶかを、しっかり会社の担当の方に伝えましょう。
うっかり忘れて損しないために
転職時は、大きく『(公的)年金』『健康保険』『雇用保険』『税金』の4つについて、一定の手続きが必要になります。
特に「次の就職先がまだ決まっていない場合」には、尚更の意識が大事です。
うっかり忘れて損をしないために、しっかり必要な手続きをしていきましょう。
文・婚活FP山本/DAILY ANDS
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