◆思わずハッとするセリフ「積極的シングルマザー」

恋愛やミステリー要素も外せないが、このドラマにおいて、ふと出てくる深いセリフも見逃せないポイントである。

そもそも、長らくコモリビトだったすいが、父のため漫画のために苦手な人間関係に向き合う……。この時点で、ヒューマンドラマに欠かせない「葛藤、苦しみ」や「主人公の成長」がある。くわえて、シングルマザーである来栖編集長の言葉が、なんとも胸に迫るのだ。

「精神的にも経済的にも自立した女性は、ミニマムな愛を求めるようになる」。来栖編集長いわく、名付けるなら「積極的シングルマザー」とも言える存在だ。優秀な男性の子どもを産み、相手とは籍を入れず、自分と子どもだけの最小単位でシンプルに生きる。世間からは目をひそめられるような価値観かもしれない。しかし、当人が納得している生き方や選択を、他の誰が責められるだろうか。