◆不穏な空気感漂う

すいは長らくコモリビト生活を送っていたが、漫画家である父・丈治(陣内孝則)が、カリスマ的ラノベ作家である公文竜炎(溝端淳平)と組んで新しい漫画を作ることに。すいの人生、いわばコモリビトになるきっかけとなった事件をモデルに、物語を組むことなった。

作品のため、10年ぶりにコモリビトから脱却したすいは、当時のサッカー部員・江田悠馬(井上祐貴)や、もう一人のマネージャー・江田瑞貴(若月佑美)らと再会する。彼らとやりとりをするうちに、例の事件の真相にも近づいていくことになる。

大きな謎を解き明かしていく過程は、求心力のあるミステリーとしてぐいぐい引き込まれる。そのなかで、彼らのあいだを縦横無尽に飛びまわる恋愛の矢印が、生々しいほどに浮かび上がってくる。

公文や丈治の担当編集者である来栖久美(シシド・カフカ)は、彼らがつくる漫画を「鮮烈なピュア・ラブストーリー」として世に送り出そうとしている。しかし、少しずつ透けて見えてくるのは、あまりピュアとは言い難い思惑や疑念だった。