◆さらに母の発言がひどい

 そんな父を見かねて母が助け舟を出します。しかし、その母の言葉にもがっかりしたという紗奈さん。

「母が父に、『お父さん、もうよしなさいよ。紗奈がそれで満足しているのだから、いいじゃないの』と言ったんです。母が言っていることは確かにその通りなんですけどね……。『それで満足』って、結婚の挨拶をしにきた彼の前で言うことではないですよね」

 なんとか帰省を終え、東京に戻った紗奈さんは婚姻届を提出しました。

「帰省での両親のことを彼は、『大丈夫だよ』と笑顔で流してくれました。私は、彼が消防士としてハードな仕事に耐えながら頑張っているのを知っているので、これからもそんな彼と一緒に生きていきたいと思います」

 二人が力を合わせて生活を成り立たせていく姿を両親に見せることで、いつかわだかまりが解けるときも来るのではないでしょうか。夫婦にとってお金よりも大切なものがあるということが、紗奈さんの両親に伝わることを願います。

<取材・文/maki>