◆機能性だけでは売れない時代。「安さ」を強調する勇気を出した

「パッケージの色、カロリー、そして価格にもこだわっています」と話す犬飼さん
「パッケージの色、カロリー、そして価格にもこだわっています」と話す犬飼さん
 そうは言っても今の時代、機能性を掲げる飲料はどの店でもたくさん並んでいます。そこで考えたのが、「価格面での優位性」だったそう。

「ピルクルミラクルケアは、続けていただくことが大切と考えています。無理なく継続していただくために1本当たりのカロリーを抑え、スッキリとした味わいにしました。更に継続のために重要なのは、やっぱり『価格」であると考えました。多くの人は、価格が高いと続けるのは難しいと思うのです。しかしながら、弊社としても業界的にも『安さ』をアピールした広告戦略はほとんどありませんでしたから、言い出すためには大きな勇気が必要でした」

 2023年に放送し、錦鯉を起用したユニークなCMでの「睡眠と疲労感をケア。しかも安い!」というフレーズ、心に残っている人は少なくないかもしれません。

 ここで計算をしてみると、私の近所のスーパーで売られている「ピルクル ミラクルケア」は1本あたり47円(税込)。某ライバル商品は140円でした。この圧倒的な安さには正直驚きを隠せませんでした。

 日清ヨーク公式サイトに掲載されている臨床試験の結果によると、4週間で睡眠スコアに有意な差が出ているようです。そこで4週間飲み続けるとして計算すると、1316円になります。

 価格以外にも、1本(65ml)27キロカロリーというヘルシーさを意識したこと。従来は、赤カラーが多かった乳酸菌飲料売り場で、パッケージのカラーを目に留まる高級感のある濃紺にするなど、さまざまな試行錯誤を重ねて誕生したそうです。

 国民の可処分所得が下がっている時代に、機能と共に発信する「しかも安い!」というメッセージは想像以上に心に響くメッセージなのかもしれません。

 もちろんこれらのピルクルシリーズは医薬品ではないため、私達それぞれが適切な選択をすることは重要です。

 とにかく現代人の疲れが癒され、多くの人が安心して眠れる時代になりますように……。

<取材・文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>

【スギアカツキ】

食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12