◆「誰もがいい人」別れた父とその妻とも交流

 ほしのさんの母は、何も隠さない人だった。父の写真を見たこともあるし、兄がいたことも聞いていた。

 9歳のとき、別れてから音信不通だった父から連絡があった。ほしのさんの兄が交通事故で亡くなったというのだ。まだ22歳だった。この兄のお葬式で、ほしのさんは実父と7年ぶりの再会を果たした。

パーパーほしのディスコさん
 父の2度目の結婚で自身が生まれたこと、その後、父は3度目の結婚をしていたこと、そして弟も生まれていたことなど、なかなかに複雑な家族状況が本には実直に綴られている。

 ただ、「誰もがいい人」だったのが彼の幸運だった。複雑であることは決して不幸ではなく、むしろ家族が増えているおもしろさがあると感じられるのは、彼の性格によるものか、軽やかな筆致によるものか。

 母と祖父母と暮らしながら、たまに父とその家族とも会う生活。別れた家族がそういう交流を図るのはむずかしいものだが、誰もが正直に生きているからできたことなのかもしれない。本の中では実父とその妻についても、非常に魅力的に描かれている。

「父はたぶん、どこか女性心をくすぐる魅力があるんでしょうね。母も父を支えてあげたいと思って結婚したんだと思います」