◆帰りの車内でとんでもない悲劇が……

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 茨城の実家から東京の自宅までは、混んでいなければ高速で約2時間半。でも由貴さん家族が出発した日は、1年の中で一番混むと言われている1月2日でした。

「前半は混んでいなかったので、この勢いでどんどん進もうと休憩を入れずに車を走らせました。実家で遊び疲れた息子は、車に乗った途端に爆睡していたのでチャンスだと思って。出発から1時間半くらい経った頃、寝ていた息子が『おしっこー!』と叫び出したんです」

 でも、その時には渋滞のど真ん中。トイレのある地点までどのくらいかかるかも分からなくて。ナビを見ても道が渋滞を示す“真っ赤”になっていました。

 そして、悲劇は起こったのです。

 おしっこが我慢できない息子は「漏れちゃう、もう! 漏れちゃうぅ」と言いながら泣き出し、泣きながら失禁。途端におしっこのニオイが車内に充満しました。

「もうしょうがないから、泣かないで外を見ていよう。次のトイレで着替えようね」と後部座席の息子をなだめながら、なんとか息子を泣き止ませた由貴さん。

「とりあえず、このまま息子を落ち着かせて休憩所までもたせようと思っていたんですが、今度は運転席から『おえぇ~』って声が聞こえて。車内に広がったおしっこの臭いで夫が吐き気をもよおしてしまったんです。もう、地獄でしたね。後ろにはおしっこの息子、横には今にも吐きそうな夫。そして大渋滞という……」

 夫にタオルを渡してニオイを防ぎながら、なんとか休憩所まで嘔吐せずに済んだようですが、あの時の地獄の時間は、由貴さんにとって一生忘れられない出来事になったそうです。

<文/maki イラスト/ただりえこ>