◆気を使いすぎてもダメ、本音をぶつけすぎてもダメ

 椿と純愛のやり取りはとても重々しく、純愛の「はっきり言葉にしてほしい」という価値観ゆえの真っすぐ過ぎる言葉にも苦しくなった。ただそれ以上に、夜々が純愛が帰る際に「恋愛で全員幸せになるなんて不可能ですよね」とつぶやいていた通り、恋愛に限らないが2人組を作ることの難しさを感じてならない。

『いちばんすきな花』
 椿は何とか個性を殺して、純愛の顔色を伺って結婚目前までこぎつけたが、結果的にはその頑張りが“仇(あだ)”となって純愛を遠ざけてしまった。気を使いすぎてもダメ、本音をぶつけすぎてもダメ。だからこそ、それらを乗り越えて2人組を築けたことは希少であり、貴重である。