「性別問題」で議論になっているパリ五輪のボクシング女子66キロ級のイマネ・ヘリフ(アルジェリア)をめぐり、2ちゃんねる開設者で実業家の「ひろゆき」こと西村博之氏が「トランスジェンダー」と事実誤認し、その後の訂正でも「性染色体XYで女性器と睾丸を持つ男性」などと発言したことが物議を醸している。

 ヘリフはこれまで女子ボクシング選手として活動し、2021年の東京五輪にも出場。しかし、昨年インドで開催された世界選手権で、主催の国際ボクシング協会(IBA)がヘリフと台湾のリン・ユーティンについて、性別適格性検査で失格になったと発表した。一部報道によると、IBA会長のウマル・クレムレフ氏が「XY染色体を持っていることが証明されたため、除外された」と説明したという。

 通常ならこの判定がパリ五輪にも影響する可能性があるが、IBAは審判の不正疑惑や不透明な財政管理などの組織運営が問題視され、国際オリンピック委員会(IOC)から国際競技団体としての承認を取り消されている。五輪では競技運営を各競技の運営団体が担うのが通例だが、IBAの承認取り消しによってパリ五輪のボクシング競技はIOCの特別作業部会が運営しており、IOCの基準でヘリフ、リンの両選手は出場が認められた。

 IOCによると、世界選手権での突然の失格は「テストステロンの上昇によるものだった」とし、ヘリフについて「女性として生まれ、女性として登録され、女性として人生を送り、女性としてボクシングをし、女性のパスポートを持っている」としている。

 晴れてパリ五輪出場となった彼女たちだが、ヘリフが対戦相手を一方的に攻め立てている試合動画が拡散すると「元男性のトランスジェンダーが女子選手をボコボコにしている」などといったデマが拡散される事態に。ヘリフのパリ五輪の初戦で対戦相手が圧倒的な力の差にひるんで開始46秒で棄権すると、騒動がさらに拡大した。

 ひろゆき氏は、1日付の自身のSNSでヘリフの映像を引用しながら「元男性が、女子オリンピックボクシングに参加。元男性の余裕勝ち。金玉取った男性は、金玉取った男性です。女性ではないです。トランスジェンダーは、トランスジェンダーであって、女性ではない。女性の大会に元男性を参加させるのは、女性の機会を奪う」と発言した。