近年は女優としての活躍も目覚ましく、等身大でナチュラルな演技が評価されている。アフレコでは、ドラマや映画との違いを感じたのだろうか。

「まず台本の作り方が全然違うことに驚いて、TVのレギュラー番組で共演している木村昴さんに読み方を教えていただきました。演技のお仕事はメイクや衣装も含めてその役になってから現場に入りますが、アフレコは自分のままで声だけで演じるというのが不思議な感覚で、役になりきれるか不安もありましたし、切り替えが難しかったです」

生見さん演じるアンナは、ある特殊な個性を持っているために世界的犯罪組織から狙われてしまう。特殊な“個性”から普通の女の子として幸せに暮らしたい思いに苦悩する難しい役どころだ。生見さんは「自分の声は低くてあまり好きではなかった」と語るが、可愛く儚いだけではない、さまざまな葛藤を抱えるアンナの心情を声で見事に表現している。

「アンナは可愛らしい見た目とは裏腹にとんでもない“個性”を持っていて、それに苦しめられているけれど、執事のジュリオ(声:宮野真守さん)の支えもあり強く生きている女の子。アフレコのときは監督から芯の強さを大事にしてほしいと言われました。その強さはアンナの素敵なところだと思います。

叫ぶシーンが多かったけれど、それよりも苦労したのは幼少期の声。幼く可愛い声を出すのが本当に難しくて、私よりも監督がやってくださった声が一番可愛かったです(笑)。

普段お芝居をするときは段取りっぽくならないように、自然体を意識しているのですが、アフレコではその強弱がわからなくて結構戸惑いました。もっとオーバーにって言われて、わざとらしくないかなと思ったけれど、これでいいのかなって。自分の中でお芝居は自然体で、という軸があったので、それが覆されて、こういう方法もあるんだと勉強になりました。もっとこうすればよかったと思うところもありますし、また声優のお仕事に挑戦したいと思います。ヒロアカにはたくさんのキャラクターが登場するので、自分の“推しキャラ”をみつけるのも楽しいですよ。ぜひ劇場で観てほしいです」