「推し」や「推し活」と聞くと、かつては「オタク」「アニメ好き」などのイメージもあったが、2021年には新語・流行語大賞にもノミネートされ、いまやZ世代で「自分に推しがいる」「ヲタ活をしている」と認識している人は80%を超えるアンケート結果もあるほど、市民権を得ています。
自分で作ったぬいぐるみで推し活をし、著書『とにかく顔がかわいい推しぬいの作り方』を持つ「ぬむ」さんに「推し活」の社会現象について伺いました。
◆地域活性化や社会現象にまで発展する「推し活」
「推し活とは推しを応援する活動のことで、推しの出ているライブやイベント、握手会に行ったり、コラボカフェに行ったり、グッズを買ったりすることのほか、推しが出演するテレビ番組や動画を鑑賞することもそうですし、推しに所縁のある場所を訪れる『聖地巡礼』も推し活の一つです。
また、私のように手作りのグッズを作って身につけることも推し活になります。俳優や舞台俳優、タレント、アイドルグループに推しがいる人もいれば、アニメキャラやユーチューバーを推している人もいます」
これまでも人気キャラクターとのコラボカフェなどさまざまな形の「推し活」があったが、「推し活は一部の人の間での現象ではなく、いまや地域活性化や社会現象にまで発展することもあります」と、ぬむさんは説明する。
「たとえば、今年、バーチャルライバーグループ・にじさんじ所属の人気VTuberである周央サンゴさんが三重県志摩市の複合リゾート施設『志摩スペイン村』とコラボをして、大成功を収めたことが話題になりました。
もともと志摩スペイン村は『待ち時間ほぼゼロ!』『人が少ないから人の映り込みなし』などと自虐ネタでも知られていたのですが、周央サンゴさんが志摩スペイン村への愛を語ったYouTube配信がきっかけで、コラボが実現したそうです。
イベント期間中には周央サンゴさんの大勢のファンが来場し、来場者数は前年比約1.9倍となる23万6000人、周央サンゴさんが『世界一うまい』と紹介したチュロスは1日平均で1000本、例年の約33倍もの売り上げを記録し、大きな経済効果と活性化につながりました」