◆厳しいことを言ってくれる人がいないとむしろ“厳しい”、プロの現場

古川琴音インタビュー
――中学、高校、大学と演劇をやってきた古川さんですが、デビュー以降で「これがプロの現場なんだ」と衝撃を受けたことはありましたか?

古川琴音さん(以下、古川):自分のお芝居の仕方が変わったなと感じたのは、『偶然と想像』(2021)の濱口竜介監督とのお仕事です。

 セリフの入れ方やカメラの前でどうやって自由になるかといったお芝居の基本は、そこで学んだ気がします。

 それとは別に、全体的にプロの現場ならではだと感じたのは、どう演じるかを役者に任せていただいている感覚が強いことです。

――任せてもらっている。

古川:学生の頃はここはダメだとか、面白くないとか、準備段階から感想を言い合う場面が多かったのですが、仕事を始めてからは、そういったことは少なくなりました。

 解釈を含めてその役者の責任だったり、感性なんだと、尊重されているからこそだと思います。

 学生のときに比べて、厳しいことを言ってくれる人がいないけれど、むしろ厳しいと感じています。ちゃんと責任を持って、自分の感性にも自負を持たなければいけない。

 私が演じるんだから、というプライドを持って仕上げなきゃいけないんだと、プロとして全部を任されているのだと思います。