◆生きている人のほうが、ずっと怖い

――本書のタイトルにもなっている『憑きそい』というお話しに震えあがりました。山森さんの漫画には「生き霊」が出てくることがありますが、「生き霊」と「亡くなった人の霊」どちらが怖いと思いますか?

山森:生き霊というか、生きている人の方が死んでいる人よりはずっと怖いと思っています。生きてパワーを持っている人間が一番怖いですね。

――それはなぜでしょうか?

山森:亡くなった人と生きている人では熱量がまったく違うと感じます。例えば「階段」に出てくるアレは見た目は怖いのですが実害はそれ程なくて、「足にしがみつかれながら階段を昇らなければならなかった」くらいです。

 私の場合、「これは生き霊だな」と感じるものは白目の部分まで全部真っ黒になっているように見えるんですが、生き霊に遭遇すると影響を受けてしまうというか、本当に具合が悪くなってしまうんです。

 生き霊に取り憑かれている人や、その影響でトラブルが起きてしまっているのを目の当たりにしてしまうと「生きている人間の方が怖いな」と思います。人がどんな感情を抱いていているかは読めないので予測がつかない怖さがありますね。

――「憑きそい」も本当に怖い結末でしたね。

山森:本当に吐き気がするというか「この先どうなっていくんだろう」という現実的な怖さがありました。