◆恐い体験を漫画に描き続ける理由

――『憑きそい』を読むと「こんな怖い体験をしたらトラウマになるだろうな」と感じるのですが、実際に体験した山森さんはどうやって恐怖を受け止めているのですか?

山森めぐみ(以下、山森):怖い体験を作品にすることで浄化しているところがあります。自分が体験したことや見たものを描くとお祓いみたいな効果があるらしいんです。

 映画の『リング』(1998年)で「貞子の呪いのビデオ」をダビングして他の人に見せるという展開がありましたよね。あの映画では呪いを広める行為として描かれていましたけど、実際に紙に書き写して人に見てもらうと災厄を取り除く意味で効果的なんだと思います。

自分勝手な話かもしれないのですが、「こんな怖いを思いをしたから浄化しておきたいな」という出来事を思い出すと、お祓い代わりに描いているような感じです。

――では多くの読者に読んでもらうほど山森さんが浄化されるような感覚があったり?

山森:たくさん読んでもらえるほど1つ1つの恐怖が薄まっていくかもしれないですね。だから増刷してもらえるとすごく嬉しいです(笑)。