◆「きらきら映画」の金字塔

 三木孝浩監督作『管制塔』(2011年)は、無垢ながら他にはない原石のような輝きで、デビュー一回限りの名演を刻んだ。キャリアを決定づけたのは、言わずもがな、漫画作品を実写化した映画作品の数々。

 曽利文彦監督による『ピンポン』(2002年)から実写化の機運は高まり、空前の実写化ラッシュが到来するのが、2010年代。

 松坂桃李主演の『今日、恋をはじめます』(2012年)ではまだ助演級だった山﨑が、剛力彩芽との『L・DK』(2014年)を皮切りに、あれよあれよと少女漫画を原作とする、いわゆる「きらきら映画」の申し子となる。

“実写化王子”の異名が何よりの証拠だ。2016年の『オオカミ少女と黒王子』は、その異名の集大成を飾る記念碑だったばかりか、廣木隆一監督作としての完成度の高さは、きらきら映画の金字塔に他ならなかった。