◆当事者ミシェル・ヨーから事情説明があったが

 一方、ダウニーとストーンの行為を擁護する声もあります。

 プレゼンターが5人になり混乱したのではないかとか、当事者のミシェル・ヨーも自身のインスタグラムで「あなた(筆者註 エマ・ストーンのこと)を混乱させてしまったけど、あなたの親友のジェニファーと一緒に、オスカー像をあなたに手渡すという輝かしい瞬間を共有したかったの」と説明し、ストーンの受賞を祝っていました。

 とはいえ、これがキー・ホイ・クァンやミシェル・ヨーではなく、白人や黒人、中南米の俳優だったとしても同じだったでしょうか? 騒動の背景には、こうした不信感があるのだと思います。

 式の終盤、司会のジミー・キンメルによる「トランプは刑務所にいるんじゃないのか?」とのジョークもむなしく、アメリカにおける人種差別が根深く、日常的なものだと印象付ける結果となった今回のアカデミー賞。

 しかしながら、映画界に限った話ではありません。音楽界の出来事を振り返って、改めて考えてみたいと思います。