「プレスパスの発行は、これまでの取材実績がものを言うためネットメディアには付与されない一方で、地方新聞でも1枚は持っていたりします。テレビの場合、「権利保有メディア(ライツホルダー)」と書かれた縦長のパスを国際オリンピック委員会から付与されており、これをまずはNHK、民放テレビ局合同で中継業務にあたるJC(ジャパンコンソーシアム)のアナウンサー、制作スタッフ、プロデューサー、技術スタッフに振り分けます。その次に、テレビ在京キー局が取得、最後に在京ラジオキー局の順と続きます。ところが、1月末時点でテレビキー局への具体的に配布されるパスの枚数が決まっておらず、現場は混乱しています」(在京テレビ局関係者)

 言うまでもなくパスの枚数が決まらないと、どの部署の誰をパリに行かせて、あるいは東京で業務にあたらせるか、取材クルーが固まらない。大会期間中は特番体制を組むテレビ局にとって、これは死活問題といえる。

「自国開催だった2021年の東京五輪は、IOCも取材パスは日本メディアに大盤振る舞いだったといいます。ところが今回は東京五輪と比べると3分の1以下に枚数が激減するとの情報もある。ただでさえ五輪の放映権料は毎回上昇しており、テレビ局によっては『これ以上付き合ってられない』と降りる局も出てきそうなほど制作の財政を圧迫している。当然、これまでのように余裕を持った人員を現地に送り込めなくなります」(同前)