◆なぜ「毒母」なのか?
――最近、「毒親」という言葉がよく聞かれますが、どういう意味でしょうか?
旦木瑞穂氏(以下、旦木):『毒になる親』の著者スーザン・フォワードによると、毒親とは、「子どもに対するネガティブな行動パターンが執拗に継続し、それが子どもの人生を支配するようになってしまう親」を指します。
「自分の都合で子どもの子どもたる時間や居場所を奪い、成人後もその関係を当然のごとく継続する、子どもを自らの「所有物として扱う親」と言い換えてもよいかもしれません。
――身体的な暴力がなくとも、「子どもを支配しようとする」親を指すのですね。「毒父」と「毒母」に違いはあるのでしょうか?
旦木:これまで私が取材で行ってきた30事例ほどのなかで感じたのは、「毒父」の毒は肉体的で見えやすいケースが目立ち、「毒母」の毒は精神的で見えにくいケースが多いように思います。
「毒母」の毒の場合、毒を受けている子ども本人が毒であることに気づきにくいため、対処するのに時間がかかります。じわじわと精神的に追い詰め、肉体的にも蝕んでしまう“毒”という言葉が持つ恐ろしいイメージそのものです。