【BARのマスターに聞く!第1回】

こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。 最近、友達関係って難しいなと思うことがあります。1つは、コロナ禍になり、友達づきあいの形や距離が変わったこと。もう1つは個人的なことですが、私が妊娠をしたため、生活リズムや興味関心が変化し、今まであった「子どもができると疎遠になる友達」という状態を、別の立場から見られていることです。

友達づくりの上手な人が“やらないこと”とは。バーのマスターに聞いて納得
(画像=『女子SPA!』より引用)

「BAR BOSSA」のマスター林伸次さん(右)と筆者・おおしまりえ(左)

特に何か大きな問題が起きたわけでもないし、ものすごい孤独感に襲われた、というわけではない。けれど、じわじわ感じる交友関係の変化に、ちょっとだけ不安が残ったりもします。そもそも、大人になってからの適度な友人関係ってどんなものなのでしょうか。

今回は、渋谷のワインバー「BAR BOSSA(バールボッサ)」の店主であり、作家として『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』(幻冬舎刊)などの著書をもつ、マスターの林伸次さんに取材。憧れの“バーのマスターに人生相談”をしながら、答えを探ってみました。

大人にとっての心地よい友達関係って、一体どんなもの?

おおしま: 冒頭で話した通り、「大人になってから友達が減ったな」と思うことがあります。その分仕事やパートナーとの時間は充実してはいるのですが、もともと友達が少ない方なので、ちょっと寂しさもあったりして。林さんが思う「心地よい友達関係」って、どんなものだと思いますか?

林: そもそも、年齢とともに友達が減るって仕方ないことだと思います。一説によると、人は“狭い場所”でしか友達を作れない生き物だと言われているそうです。たとえば中学高校などの狭いコミュニティですね。これを大学の単位制にすると、友達ができにくくなると言われています。 友達って、性格や興味が合うことでできると思われがちですが、本質はそこにはなくて、毎日顔を突き合わせて色んな話をぶつけ合っていく中でできていくんです。

友達づくりの上手な人が“やらないこと”とは。バーのマスターに聞いて納得
(画像=『女子SPA!』より引用)

おおしま:なんだか、いきなり安心しちゃいました! 普通に生活していると、友達関係が新しくできるよりも、減る方が多いと感じるのは当然のことなんですね。

林: そうですね。だからこそ、孤独を感じるときがあるなら、意識的に作らないとダメとも言えます。 もちろん結婚はしたい人がすればいいし、したくない人はしなくていいと思いますが、僕はもし結婚をしたいと思っているのなら、結婚推進派です。それは独りだと話し相手がおらず、早死にのリスクが高まるから、というところから来ています。人は一定量の会話をしないと、精神的に参ってしまうと言われています。「結婚相手が一番の友達」であれば、少なくとも会話不足で孤独になるリスクは、ある程度回避できますからね。

“第三の場所”をいかに持つかが、孤独感回避のカギ

おおしま: 日本人はよく勤勉と言われますが、最近はその勤勉さが繋がり不足を誘発していると思うときがあります。たとえば、家と職場の往復だけをしていた中年男性が、社会との繋がり不足で孤独になったり。子育てママさんが社会から離れた結果、孤独感を募らせ子育てで行き詰まるというのも、構図としては似た印象を受けます。

林: 日本人は、欧米にくらべて“第三の場所”を持ちにくいカルチャーではあるかもしれません。僕は新型コロナ流行以降、よりリアル店舗の重要性が増したなと感じるときがあります。 少し前は、お店というものは今後デリバリーやEC(通信販売)によってなくなると言われていました。でも、実際は第三の場所としての機能をお店に求められることが多くなった印象です。今後は、会員制とかサブスクのお店といった、居場所としてのお店はニーズが高まるのかなと思っています。 BOSSAも会員制にはしませんが、ここへ来れば繋がりができるみたいな場所になれたらいいなと思っています。