「これまでアートは“高尚”“小難しい”“訳がわからない”という文脈で捉えられがちでしたが、昨今は自己表現の手段という側面より、社会的課題の解決を目指す流れが強くなっています。また、多様性の実現が強く意識されるようになるなかで、アートで自由に表現することの重要性が改めて脚光を浴びている。最近のテレビ界はSDGsにも強い関心が向けられており、アートとのコラボが実現しやすい状況は整っています」(カルチャー誌編集者)
そのさきがけとなったのが今回の『藝大よ、』だが、視聴者にアートが受け入れられる土壌はあるのだろうか?
「日本人はとにかく権威に弱い。東大ブランドを全面に押し出した番組が当たったのは何よりの証拠ですが、“東京藝大”というブランドも強力で、新鮮味もあります。藝大の存在はこれまでずっと謎に包まれていましたが、藝大生の生態に迫る『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』(新潮社)という本が2016年に発売され、40万部以上を売り上げる大ヒットを記録しました。興味がある人は少なくなかったということです。最近の話題で言えば、King Gnuの井口理は藝大の卒業生ですし、乃木坂46の池田瑛紗が今年、藝大に合格して大きな話題になりました。“観せる”や“聴かせる”のが命の芸術はテレビで映えますし、アートなら老若男女にも受け入れられやすい。スポンサーに好まれそうな企画を立てることもできそうですし、現場レベルでいえば、自己顕示欲が強い藝大生なら出演してくれる人を探しやすいというメリットもあります」(キー局関係者)
東大王の次は藝大王かもしれない。