大学2、3年生になると、多くの大学生は卒業後の進路についてある程度の目標を定め、なんらかの活動を始めることになります。就職活動や大学院進学など、どのような選択をしても考えなくてはならないのがお金のこと。卒業後、実際にどのような進路を選択した学生が多いのか、それぞれの進路を選択するにあたってどれくらいのお金が必要なのか、最近の傾向を交えて調べてみました。
大学卒業後の進路、最近の傾向は?
2020年3月に実施された文部科学省の「就職状況調査」(大学等卒業者及び高校卒業者の就職状況調査)によると、大学卒業者の就職希望率は約77%で、そのうち就職した人(就職率)は98%となっています。
また、私立大学の卒業者の就職希望率は男女ともに8~9割と高水準なのに対し、国公立大学では約57%となっています(男子が約49%、女子が約71%)。国公立大学と私立大学の間、また国公立大学内においても男子と女子の間で、希望した進路に大きな違いのあることがわかります。
「就職」を選択した学生は、どのような企業に勤めている?
毎年、“就職人気企業ランキング”がテレビやネットで発表され、誰もが知っているような大手企業名がずらりと並んでいるのを、1度は目にしたことがあるでしょう。
2019年3月に大学を卒業した学生が実際に就職した先を業種別に見ると、卸売業・小売業が15.3%、医療・福祉12.7%、製造業12.1%、情報通信業10.4%、教育・学習支援業7.3%などとなっています(文部科学省調べ)。
この10年程度、大きな変動はありませんが、近年の産業構造の変化を反映して、情報通信業の割合が少しずつ高くなってきています。
進路として、就職に次ぐのが「大学院進学」
大学院には2年間の前期博士課程(修士)、3年間の後期博士課程(博士)があり、それぞれの専攻分野や研究内容によって、進学者数は大きく左右されます。全体の割合としては横ばい傾向にあり、進学率は2016年で約11%となっています(文部科学省『学校基本調査』)。
私立大学と比べて国公立大学で大学院進学の割合が高く、理学や工学、農学などいわゆる理系を専攻する学生の割合が高い傾向は変わっていません。また、男女比を見ると、男子の約15%と比べて女子は約6%と、男女間で大きな開きが見られます(男女別の進学率は『男女共同参画白書 平成29年版』による)。
就活や大学院進学などに掛かる出費はどれくらい?
就職するにしても、大学院に進学するにしても、ある程度のお金が必要となってくるので、多くの学生にとっては気掛かりなことでしょう。必要となる金額をある程度まで事前に把握しておき、しっかりと計画を立てた上でキャンパスライフを送ることが望ましいと言えます。
就職活動する場合
インターンシップや会社説明会、就職フェア、OB・OG訪問などにどの程度参加するのか、どれくらいの数の企業を受けるのかなど、個々人のスタイルによって必要な費用は大きく変動します。
人材紹介・就職支援を行う株式会社ディスコが、2020年3月卒業予定の大学生を対象に就職活動にかかった費用を調べたところ、平均で13万6,867円という結果となりました。最も金額が高かったのが「交通費」の6万2,407円で、その他に「リクルートスーツ代(靴やシャツなど含む)」3万6,375円、「宿泊費」1万1,663円、「備品代(カバン、PC、手帳など)」が8,848円となっています。
大学院(博士前期課程)に進学する場合
大学入学時と同様、入学金と授業料が必要になります。国立・公立・私立によって違いがあり、私立大学は国公立大学より総じて高額となっています。また、法科大学院(ロースクール)については、ほかの研究科よりも割高になっている大学もあります。
>国立大学…入学金:28万2,000円 / 授業料:53万5,800円
公立大学…入学金:20~50万円(居住地域による) / 授業料:50~60万円
私立大学…入学金:平均約20万円 / 授業料:平均約75万円 / 施設設備費:平均約7万円