◆間違いなく日本一の俳優

 井川遥は、一番好きな俳優である。嘘いつわりなく、やや語気を強めながら断言できる。いやいや、筆者個人の趣味嗜好とは関係なく、井川遥は日本一の俳優であること間違いなしだ。

 疑いの余地はない。世界の映画祭で高く評価された青山真治監督作『東京公園』(2011年)で井川を見たときの衝撃は忘れられない。あの透き通った存在感。現実と虚構すれすれを行き来するような美そのもの。

 画面に釘付けになった。青山監督が完璧なサイズ感でフレームにおさめようとする井川を見て以来、この人を下手な役柄で扱うことだけはやめてほしいと願うようになった。