◆妙な説得力がある孔明役

 向井理から目が離せない……。中国の三国時代に活躍した名軍師・諸葛亮孔明を向井理が演じると聞いたときには、「えっ!?」とやや疑心暗鬼だった。流石の向井をもってしてもこれは演じきれないと一瞬思ったが、全然そんなことはなかった。

 むしろこれは向井にしか演じられない。ジョン・ウー監督による大スペクタクル2部作『レッドクリフ』(2008~2009年)で金城武が演じた孔明はあまりにも華麗だったが、いや向井は金城の名演を軽々と超えてきた。

 生まれ変わることを願ったとはいえ、孔明がいきなり現代の日本にタイムスリップするという無理ある設定や、途端に中国語から日本語へすんなり切り替わる違和感もすっ飛ばす。

 なぜだろう、向井が演じる孔明には妙な説得力があり、同時に生々しくもある。