京都府京都市伏見区にて京菓子の製造販売を手がける和晃は、寒天発祥の地とされている地元伏見にて、飲む寒天じゅれドリンク「伏水(ふしみ)ブルー」380円(税込)を、新商品として伏水菓蔵本店(ふしみかぐらほんてん)にて発売した。
京都・伏見は「寒天発祥の地」
伏見での寒天製造は、18世紀初頭に編纂された『和漢三才図会』の石花菜(ところてん)の項に「城州伏見の里にて之製す」と寒天の説明があり、江戸時代初期には伏見で主に生産されていたことがうかがえる。18世紀後半の伏見を紹介する『伏見鑑』には、「元来、伏見にて作初る産物なり」とあり、伏見が寒天発祥であるとされている。
伝承として、薩摩の島津公への食事接待の際に偶然、製法が発見されたことや、黄檗(おうばく)万福寺の隠元和尚による命名、寒天発祥は美濃屋であるといったことなどが記録されている。特に美濃屋については土地台帳で、近代に御駕籠町に存在したことが確認できる。
このように、江戸時代、伏見が寒天の産地であったことは間違いなく、発祥の地とすることもほぼ確実であると考えられる。近代以降は、冬の冷え込みがより厳しい、大阪府三島郡北部から京都府南桑田郡樫田村(現在の大阪府高槻市)、更には長野県方面に産地は移り、現在は伏見で生産されていない。(※1)
地元伏見に関連する商品を開発
「寒天発祥の地・伏見」を発信し、寒天を使った料理やイベント、講演等を通じてPRしてきた市民団体「伏見寒天プロジェクト」が、募金活動を継続して企画された「寒天発祥之地」の石碑を、御駕籠町に隣接する京都市立伏見中学校の正門前にて令和2年12月27日に設置。ふるさとの歴史を生徒に知ってもらおうという想いから、同中学校へ贈呈された。(※1)
その際に協賛を行った和晃では、この石碑に着目し、「地元伏見に関連する商品を作りたい」という想いから、寒天を使用したじゅれドリンクを開発した。
低カロリーでボリューム感もある寒天
寒天の原料は、紅藻類である「テングサ」と「オゴノリ」。「テングサ」は、テングサ科というグループに分類されるマクサやオバクサをはじめとした海藻の総称。「オゴノリ」にはオゴノリやオオオゴノリなどの海藻が含まれる。寒天はカロリーが低く、100倍以上の水を抱えるのでボリューム感もあるため、つらい空腹感でも低カロリーの寒天を上手に使ってコントロールができるのが特徴だ。